着磁が初めての方へ

着磁ってナニ?

着磁とは? ― 磁石が“磁石になる”瞬間

マグネットといえば「鉄にくっつくもの」というイメージがありますが、実は、磁石材料は成形された時点では磁気を帯びていません。
この磁気を持たない材料に、磁界を与えて磁気を持たせる工程――それが 「着磁」 です。
着磁を行うことで、初めて磁石は磁力を持ち、鉄に吸いつくようになります。

子供の頃の実験にもあった「着磁」

学校の理科の授業で、「U字型磁石を釘にこすりつけると、釘が磁石のようになる」という実験をしたことはありませんか?あれもまさに“着磁”の一例です。
磁気を帯びさせるには、磁界の中に置いてあげる必要があります。
ただし、産業用のマグネットでは、釘の実験とは比べものにならないほど強い磁界をかけなければなりません。

飽和着磁 ― 磁石の性能を最大限に引き出す

強い磁界をかければかけるほど、強い磁石ができる…と思われがちですが、実際はそうではありません。
磁石材料にはそれぞれ磁化の限界点があり、いくら強い磁界をかけても、それ以上磁化されない点を「飽和点」 といいます。
この飽和点までしっかりと磁化させることを 「飽和着磁」 と呼びます。
マグネットの性能を最大限に引き出すには、この飽和着磁を確実に行うことが重要です。

では、実際の着磁はどうやって行うのか?

 

 


 

着磁に必要なモノ その① 「空芯コイル」「着磁ヨーク」

空芯コイル

まず、電線をグルグル巻いてコイルを作ります。その中に磁石を置いて、コイルに電流を流すとコイルの中に磁界が発生し、磁石が着磁されます。
磁界の方向は、コイルに流れる電流の向きによって決まり、磁界の強さは、コイルに流れる電流の強さによって決まります。
このコイルを「空芯コイル」と言い、着磁に使う空芯コイルを特に「着磁コイル」と呼ぶこともあります。

空芯コイル発生磁界説明

この空芯コイルは、N/S、2極の単純な着磁しかできないと言う欠点がありますが、全ての着磁の基本となる方法で、現在でも数多く使用されています。

着磁ヨーク

より複雑な多極着磁を行う場合には、「着磁ヨーク」という専用の治具が必要になります。
磁界発生の原理は空芯コイルと同じですが、着磁ヨークは機械加工等で加工した鉄芯に電線を巻いて作ります。鉄芯の形状や巻線方法を変えることによって、発生する磁界を制御し、複雑な着磁を可能にします。
着磁ヨーク種類

平面着磁ヨークの巻線の様子
例えば、平らな鉄の板に縞状に溝を彫り、その溝に電線を埋め込みます。その上に、シート状の磁石を置いて電線に電流を流すと磁石は縞状に着磁されます。
着磁されたマグネットシート

これは実際に、車の初心者マーク等に使われている着磁方法です。

着磁ヨークは、磁石に合わせて1台1台設計する必要があり、オーダーメイド製作が基本となります。
さて、空芯コイル・着磁ヨークの原理はおわかり頂けましたでしょうか?

関連リンク

「着磁ヨーク」ってどんなもの?
着磁ヨーク・空芯コイル

着磁に必要なモノ その② 「着磁電源」

着磁電源

先にお話した通り、強い磁界を発生させるには強い電流を必要とします。具体的には1000A~30000A以上という、ちょっと想像のつかない値です。
この巨大電流を発生させる装置を「着磁電源」と言います。
現在、主流となっている着磁電源は、コンデンサーを利用したタイプで「コンデンサー式着磁電源」とも呼ばれています。
コンデンサーにエネルギーを充電し、それを一気に放電するという仕組みで、非常に短い時間ですが大きな電流を発生させることができます。

関連リンク

着磁電源ってどんなもの?
着磁電源 一覧


まとめ

現代の着磁は上述した通り、電線に電流を流すことで磁界を発生させ、その磁界を使ってマグネットに磁気を着ける方法が一般的です。
発生磁界の形状を決定する「着磁ヨーク」と、巨大な電流を流す「着磁電源」
この2つの機器によって、強力で複雑な磁界を生み出し、様々な着磁を可能としています。

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