フラックスメーターを使用した測定実演
フラックスメーターで着磁後の磁石を測定
フラックスメーターの測定実演
フラックスメーターを使用した測定の様子を見たことありますか?
今回はドリフトレスVF積分方式のフラックスメーターIMFシリーズを使用し、実際に着磁した磁石を使用した測定の様子をご紹介させていただきます。
目次
・使用する磁石
・必要なモノ、測定方式
・測定実演動画、説明
・フラックスメーターの積分方式
使用する磁石
測定に使用した磁石は下記の動画内で着磁したものになります。
リンク先:実際に着磁を行なってみた
必要なモノ・測定方式
フラックス測定に最低限必要なモノは、
・フラックスメーター
・サーチコイル
です。
フラックス測定をするためには、サーチコイルに磁束の変化を与え、起電力を発生させる必要があります。
その変化を与える手段として、大きく2通りの方法があります。
①引き抜き測定法
②通過測定法/回転測定法
引き抜き測定は、サーチコイル内に測定するマグネットを配置し、フラックスメーターをリセットして数値を「0」にします。その後、マグネットをサーチコイル内から取り出してフラックス量を測定する方法です。
この方法は、測定方法が容易であることと、サーチコイルからプラス(もしくはマイナス)の電圧のみが発生されるため、この測定を行う場合には、どんなフラックスメーターでも正しく測定が可能です。
通過測定法は、サーチコイル内をマグネットを通過させて測定する方法で、回転測定法は多極マグネットをサーチコイル内で回転させて測定する方法です。どちらもサーチコイルからプラスとマイナスの電圧が交互に発生するため、通過測定/回転測定に対応したフラックスメーターを選定する必要があります。通過測定/回転測定に対応したフラックスメーターは、必ず、プラス側の最大値とマイナス側の最大値の差分をホールドする機能が備わっています。
今回は引き抜き測定法での実演を紹介します。
測定実演動画、説明
磁石が多極なので、サーチコイルは多極用に製作しました。
着磁ヨークと同様に鉄心にコイルを巻き、コーティングしています。
引き抜きの際のイジェクトにはエアシリンダー式の押上機構を使用しました。
スムーズな引き抜きができれば手動で抜き取っても問題ありません。
試作時の少数測定の場合は手動で行うことが多いですが、量産設備等の場合はエアシリンダー等を使用することが多いです。
多極の磁石の測定なので、測定開始位置、特に軸方向と極の位置を合わせる必要があります。
極の位置がわからない場合は磁気シートやNS検査器等で極位置を把握しましょう。
動画では磁気シートで分極の位置を目視確認し、マジックで印をつけています。
磁石を挿入する際、サーチコイルの鉄心に磁石が吸着しようとするため、勢いよくコイル内に入っていくことがあります。
磁力が強い磁石は特に注意が必要です。
磁石挿入後、フラックスメーターの値を0にリセットします。
実際に引き抜き測定をします。
量産等で自動ラインに組み込む場合は、フラックスメーター内に比較値を設け、測定の際に判定します。
Hi/Go/Loを判断し、各信号をフラックスメーターから出力します。
外部リセット信号も付いているので、磁石挿入後に信号でリセットすることができます。
RS-232Cモデルを使用すれば、毎回の測定データをPC等に出力することができます。
判定値の変更やレンジ切替も通信で行うことができるので自動ラインに組み込むことも容易です。
下図のような着磁測定ラインを組むことが可能です。
フラックスメーターの積分方式
フラックス測定は、コイルをくぐり抜ける磁束線、つまり内側を通り外側にはみ出した磁束線が対象となります。
コイルと鎖交しない磁束線は測定することができません。
この鎖交する磁束(φ)の変化(t)に対し発生する起電力(e)を測定します。
求めたい磁束量は、
Φ=∫edt
となり、これを計算・測定してるのがフラックスメーターになります。
この積分方式には、CR積分方式とVF積分方式等があります。
アイエムエスのフラックスメーターはVF積分方式です。
コイルからの入力電圧を周波数に変換し、測定しています。
そのため、測定後の数値の安定が早いのが特徴です。
関連リンク:フラックスメーター製品紹介ページ