マグネットアナライザー比較 ~価格・目的別オススメ仕様紹介~

マグネットアナライザーの仕様の違いは?価格差の要因は?
どうやって選べばいい?

マグネットアナライザー検討のお客様へ

マグネットアナライザー導入をご検討されている方々から多く伺うのが、

『何を基準に選べばいい?』『スペックの違いがわからない』『とりあえず他部署と同じものでOK』

『価格差が大きい』『他メーカーから様々な機種が出ているので選びにくい』などなど

様々なお悩みや疑問を持ったまま、選定を進めている方も少なくありません。

ここでは、マグネットアナライザーの仕様の違いや価格差の要因、

目的別のオススメ仕様等をご紹介させていただきます。

目次

 

・マグネットアナライザーの問題・課題

 

・仕様の違いとは?価格差の要因、選定方法

 

・目的別オススメ仕様

 

・デモ測定を依頼しよう

 

マグネットアナライザーの問題・課題

 

測定とは、常に正しい値が計れなければ意味がありません。

しかし、マグネットアナライザーによる磁束密度分布測定の場合、この常に正しい値で測定するということが一番難しい問題でもあります。

永久磁石の近接磁界はわずか0.1mm位置がズレただけでも測定値に大きな影響を及ぼします。

この永久磁石の位置磁気センサの位置をいかに正確に出すかということが、一番大切なのですが、磁気センサの感磁部というのは、外観からだけではその位置を把握し難く、マグネットアナライザーに磁気センサの位置を検出する機能がない場合には目視での調整に頼らざるを得ません。

よって、毎回磁気センサの位置が微妙に変わってしまい、このことが原因で、測定値の再現性がとれず、測定誤差なのか、実際に永久磁石の発生磁界が変わったのかさえわからなくなることも多くあります。

また、磁束密度は大きさだけでなく、方向もある「ベクトル」です。磁気センサの向きと、磁気ベクトルとの向き一致しなくては、誤差が生まれます。

カタログに載っている測定精度は、磁気ベクトルの向きも大きさも均一な磁場の中に、磁気センサを単体で設置した場合の精度に過ぎません。

しかし実際には、単体の精度以上に、磁気センサの位置決めの誤差や、方向が合っていないことによる誤差の方が大きいです。

精度の高い磁束密度分布の測定を行う場合には、必ず、磁気センサの位置を正確に検出して位置決めできる機能と、磁気センサの向きを正確に検出し補正できる機能をもった機種を選ぶことが重要となり、メーカーの課題になります。

 

仕様の違いとは?価格差の要因、選定方法

 

マグネットアナライザの仕様の違い・価格差は、

 

  • ・磁気センサが1軸か3軸か

  •  
  • ・磁気センサ位置決め機能の有無

  •  
  • ・機械的な移動方向の軸数(1軸、2軸、3軸)

  •  
  • ・移動ストローク量

  •  
  • ・ソフトウェアの内容

  •  

によって、大きく異なりますので目的にあったものを選ぶ必要があります。

マグネットアナライザはどのメーカーも受注生産のため、ハードウェアのカスタム、ソフトウェアのカスタムに対応することができますが、カスタム費用は大きく差が出るポイントになりますので注意が必要です。

 

  • ・磁気センサが1軸か3軸か

 

磁気センサが1軸か3軸かで、価格は大きく変わってきます。よって、まずは3軸が必要かどうかを良く検討して下さい。但し、計測したいデータは1方向だったとしても、再現性が重要な場合には注意が必要です。

1軸の磁気センサは、感磁位置や向きを正確に把握することが困難であるため、再現性が低いことを覚悟しなければなりません。欲しいデータは1方向でも再現性が重要な場合には、3軸磁気センサも視野に入れて検討されることが望ましいです。

よって、1方向の磁束密度分布だけで良い、簡易的に計測したい、測定精度はそれほど求めない、相対評価でデータを管理すると言った場合には、1軸磁気センサを。

3方向の磁束密度分布が必要、再現性が重要、高精度に計測したい、絶対評価を行う場合には、3軸磁気センサを選択しましょう。

 

1軸磁気プローブの種類について

3軸磁気センサを搭載した磁気プローブ

 

  • ・位置決め機能の有無

 

マグネットアナライザーの測定精度は、磁気センサを正確に位置決めできるかどうかにかかっています。よって、磁気センサの位置を正確に検出することができる機能が付いていることは重要なポイントなのですが、残念ながら未だに目視で合わせるだけというモデルも多くあります。また絶対的な位置を出すことは出来なくても、せめて毎回同じ位置に磁気センサを戻せる機能がついているかなどは必ず確認しましょう。

無論、予算の関係で、目視で合わせるタイプを選定しなければならない場合もあると思いますが、その場合には相対評価を行うことを考えておくと良いでしょう。

 

  • ・移動軸数と移動量

 

次に考慮するのは、磁気センサの移動方向と移動量です。回転計測を行う場合には、当然ながら回転軸が必要となります。セグメント型のマグネットを計測する場合には、少なくともXYの移動軸が必要となります。空間の磁束密度分布を計測したい場合には、XYZの移動軸が必要です。

計測したい領域によって移動軸数と移動量が決まります。更に、データピッチ(どれぐらい細かくデータを集録したいか)によっても仕様が変わってきますので、事前に確認しましょう。

 

  • ・測定物のサイズと重量

 

測定物を正確にマグネットアナライザーに設置できなければ、計測ができません。複雑な形状のものであったり、サイズが大きかったり、また重量が重いと、それに合わせた装置が必要になります。事前に計測したいワークが、搭載できるかどうかはもちろんのこと、将来的に計測する可能性のある最大のワークサイズがわかるのであれば、事前に確認しましょう。

 

目的別オススメ仕様

 

目的によって必要な機能が変わってきます。

全て網羅されている機種が理想ですが、価格によっては機能を制限していく必要があります。

目的別のオススメの仕様をご紹介します。

 

  • ・ベクトルを測定したい

 

ベクトルを測定したい場合、必ずXYZ3方向の磁束密度を測定し、3軸合成値・ベクトルを計算する必要があります。

そのため、3軸磁気センサ搭載の磁気プローブは必須です。

3軸磁気センサ搭載モデルの中には、1チップを3つ並べた3チップ3軸測定プローブモデルもあります。

正確な3軸合成値・ベクトルを測定したい場合は、1チップ3軸磁気センサ搭載のプローブがオススメです。

また、3軸合成値・ベクトルを自動計算表示ずる機能が付いているソフトウェアがオススメです。

 

  • ・着磁の有無・強さを簡単に確認したい

 

円筒形の磁石やロータ等の着磁がされているか、どの程度の強さなのかを確認する目的の場合、

特に3軸磁気プローブを使用する必要はないので1軸磁気プローブ搭載モデルがオススメです。

磁石外周もしくは内周1ラインの計測が見れれば問題ないのであれば、

1軸磁気プローブ・自動移動軸は回転Rのみの製作が一番コストを抑えられます。

磁石のL寸の違いも見たい場合は上下Z軸を手動もしくは自動にすれば、L違いでの1ライン測定が可能です。

自動移動にすれば、軸方向にマッピング測定ができるので、L寸全体の磁化をカラーマップで見ることも可能です。

 

  • ・円筒形磁石周辺の磁場を測定したい

 

円筒形磁石の軸方向・径方向周辺の磁場を測定したい場合、

回転R、軸方向Z、径方向Xの自動移動移動が必要になります。

くわえてベクトルを見たい場合は3軸磁気プローブ搭載モデルがオススメです。

 

  • ・磁場解析との比較を行ないたい

 

お客様で行っている磁場解析結果との比較を行ないたい場合、

より正確な3軸合成値・ベクトルの測定が必要になります。

少しでも測定に関わる誤差を少なくすることが必須です。

そのため、1チップ3軸磁気センサ搭載のプローブは必須です。

これによって1ポイントで直交するXYZの磁束密度を取得します。

くわえて、プローブ設置時の測定位置誤差・角度ズレ誤差が大きく影響するため、

磁気センサの感磁部の位置決め機能、角度ズレ補正機能等が付いているものがオススメです。

コストは一番高いハイエンドモデルが必要となるため、

しっかりと仕様比較することが重要です。

 

  • ・回転測定、直線測定等、幅広い測定をしたい

 

円筒形磁石や平面磁石を測定したい場合、

自動移動軸XYZRが必要です。

これにより、様々な磁石を測定することができます。

さらに3軸磁気プローブがオススメですが、

価格によっては、3軸プローブではなく、1軸プローブ(円筒形用・平面用)のご用意がオススメです。

 

  • ・プローブ破損が気になる

 

不意な操作ミスによって、高価なプローブを破損させてしまう場合があります。

プローブ再製作や校正作業期間によって少なからず測定ができなくなってしまう期間が出てきてしまいます。

そのため、予備で磁気プローブをご用意することもオススメしますが、

プロテクタのような頑丈な仕様やプローブ接触による緊急停止機構の搭載がオススメです。

 

デモ測定をお願いしよう

 

マグネットアナライザーの使い勝手はソフトウェアで決まります。

設定方法や、測定の仕方、出力されるグラフや解析値など、メーカーによって大きく異なります。

後で後悔しないためにも、必ずデモ測定を依頼しましょう。

実際に見て、触ってみなければ自分たちが望んでいる測定ができるのかどうかがわかりません。

また、実際に見てみると、追加変更点などが出てくるものです。マグネットアナライザは高額な製品ですので、購入を決める前に、複数のメーカーにデモ測定を依頼し比較検討することをオススメします。

 

まとめ

 

ご紹介させていただきました通り、

マグネットアナライザーは測定内容に合わせた仕様を選ぶことが大事です。

特に研究開発・設計の方は先を見た仕様選定が重要になってきます。

導入後に失敗しないために、色々なメーカーにデモを依頼し、

満足いく測定結果が得られるかどうか、サービスも含め確認していただければと思います。

 

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